海外発送を始めるときに知っておきたい配送手段と注意点
Shopifyで販売していると、海外のお客様から「日本から送ってもらえますか?」と問い合わせが来ることがあります。ハンドメイド品や日本製の商品は海外での需要があり、対応できれば販路が広がります。
ただし、海外発送は国内発送とは勝手が違います。まず押さえておくべきなのは、クリックポストは日本国内専用のサービスであり、海外発送には使えないという点です。海外へ送るには、別の配送手段を選ぶ必要があります。
筆者は普段、TRRSケーブルやレジンキーキャップをShopifyで販売しており、日常の発送はほぼクリックポストに頼っています。ただ、海外のキーボード愛好家の方から注文をいただくことが年に数件あり、そのたびに国際郵便の手続きを調べながら対応してきました。3年間の販売経験のうち、大半は国内発送です。海外発送の「ベテラン」ではない立場から、小規模ショップが最初に知っておくべきことを整理します。
クリックポストは海外発送に使えない
クリックポストは日本郵便が提供する国内向けの配送サービスです。全国一律185円、厚さ3cm以内、重量1kgまでという手軽さが魅力ですが、発送先は日本国内の住所に限られます。海外の住所を指定することはできません。
海外へ発送するには、国際郵便やクーリエ(DHL、FedEx等)など、国際対応した配送手段を使う必要があります。国内発送でクリックポストに慣れている方ほど、海外発送のコストや手続きの多さに驚くかもしれません。
海外発送で使える主な配送手段

比較表
| サービス | 料金の目安(アジア・500g) | 配達日数 | 追跡 | 補償 | 特徴 |
|---|---|---|---|---|---|
| EMS(国際スピード郵便) | 1,400円〜 | 2〜4日 | あり | あり(上限200万円) | 速くて確実。書類手続きも比較的シンプル |
| 国際eパケット | 745円〜 | 1〜2週間 | あり | あり(上限6,000円) | 小型・軽量向け。追跡・補償つきで手頃 |
| 国際eパケットライト | 620円〜 | 2〜3週間 | あり(引受のみ) | なし | eパケットより安いが補償なし |
| SAL便(小型包装物) | 480円〜 | 2〜3週間 | なし(書留+460円で追跡可) | なし | 最安だが追跡・補償なし |
| 小形包装物(航空便) | 510円〜 | 1〜2週間 | なし(書留+460円で追跡可) | なし | 航空便で比較的速い |
※料金は目安です。地域・重量によって変動します。最新の料金は日本郵便の公式サイトで確認してください。
小規模ショップが選びやすいのは国際eパケット
小型・軽量の商品を扱うショップであれば、国際eパケットが現実的な選択肢です。2kgまで対応し、追跡と補償(上限6,000円)がつきます。料金もEMSと比べて抑えられます。
EMSは速くて安心ですが、料金が高いため、商品価格が数千円程度のハンドメイド品では送料負けしてしまうことがあります。筆者が台湾のお客様にTRRSケーブルを送ったときは、国際eパケットを使いました。送料は1,000円弱。クリックポストの185円と比べると数倍のコストですが、追跡がつく安心感を考えると納得できる範囲でした。
国内発送で追跡ありの配送を選ぶ理由については、追跡ありの配送サービスを選ぶべき理由と、追跡なしのリスクでも整理しています。海外発送の場合は、追跡の重要性がさらに高くなります。
海外発送の手続き

税関告知書の作成
海外発送では、すべての荷物に税関告知書(Customs Declaration)の記入が必要です。記載する主な項目は以下の通りです。
- 内容品の名称(英語)
- 数量
- 重量
- 価格(日本円または相手国通貨)
- 内容品の種類(商品、贈り物、サンプルなど)
手書きで記入する書式と、国際郵便マイページで電子的に作成する方法があります。件数が少ないうちは手書きでも問題ありませんが、マイページを使えばラベルの印刷もできるため、慣れたら移行するのが楽です。
筆者の場合、最初の数件は手書きで対応しました。英語での品名記入に迷うことがありましたが、「Handmade Cable」「Resin Keycap」のようにシンプルに書けば問題なく通ります。
送れないものを確認する
国ごとに禁制品(送ってはいけないもの)が異なります。共通して注意が必要なのは以下の品目です。
- リチウム電池を含む製品
- 液体・ジェル類
- 植物・食品(検疫の対象)
- 刃物類
発送前に日本郵便の「国・地域別情報」で、相手国の禁制品リストを確認してください。知らずに送ると、税関で止められて返送されることがあります。返送された場合の送料はショップ側の負担になるため、確認の手間を惜しまない方が結果的にコストを抑えられます。
Shopifyの海外発送設定

配送先の国を追加する
Shopifyの管理画面「設定 → 配送と配達」で、発送対応する国や地域を追加します。初期状態では国内のみの設定になっているため、海外発送を始めるにはここで配送先を追加する必要があります。
送料の設定方法
海外送料の設定は、主に3つのパターンがあります。
| 設定方法 | 特徴 | 向いているケース |
|---|---|---|
| 固定送料(一律) | シンプルで管理しやすい | 商品のサイズ・重量が均一 |
| 重量ベース | 実際の送料に近づく | 商品の重量にばらつきがある |
| 地域別に分ける | 地域ごとの料金差を反映できる | アジア・北米・欧州で料金が大きく異なる場合 |
最初は「アジア一律○円」「その他一律○円」のように、大まかな地域区分で固定送料を設定し、注文が増えてきたら細分化していく方が現実的です。
商品ページの多言語対応
海外のお客様が購入できるようにするなら、最低限、商品名と商品説明の英語表記が必要です。Shopifyの「Markets」機能を使えば、言語ごとの翻訳を管理できます。すべてを翻訳するのが難しければ、まずは商品名と決済に関わる情報だけでも英語にしておくと、購入のハードルが下がります。
小規模ショップが海外発送を始めるべきか
始めるメリット
- 販路が広がり、売上の上限が上がります
- 日本製のハンドメイド品は海外で需要があります
- Shopifyは海外対応の機能(多通貨、多言語、国際配送設定)が充実しています
始める前に考えるべきこと
- 送料が国内の数倍になるため、価格設定の見直しが必要です
- 税関手続きの手間が発送ごとに発生します
- 配達日数が長く、トラブル時の対応にも時間がかかります
- 英語でのカスタマーサポートが必要になる場合があります
正直なところ、月の発送件数が数十件程度の小規模ショップでは、海外発送を「積極的に取りに行く」よりも、「問い合わせが来たら対応できるようにしておく」くらいの温度感が無理のないスタートです。配送設定だけ済ませておき、注文が入ったら対応する形にすれば、準備コストを最小限に抑えられます。
筆者自身もこのスタンスで運用しています。海外から問い合わせが来たときに「対応できます」と答えられるように配送設定だけは済ませてありますが、海外向けの集客は特にしていません。それでも年に数件の注文があり、その都度対応しています。
よくある疑問
Q. 海外発送の送料はお客様負担が一般的ですか?
海外発送の場合、送料をお客様に負担いただくのが一般的です。「送料無料」にするには商品価格に送料を上乗せする必要がありますが、国際送料は地域によって大きく異なるため、一律の価格設定が難しいのが実情です。送料の考え方については「送料無料」の設定はどこからが現実的かでも整理しています。
Q. 関税はショップが負担しますか?
通常、輸入時の関税は受取人(お客様)の負担です。ただし、お客様が関税の存在を知らないと「追加で請求された」とトラブルになることがあります。商品ページやFAQに「輸入時の関税・消費税はお客様のご負担となります」と明記しておくことをお勧めします。
Q. まずはどの国を対象にするのがよいですか?
距離が近く配達日数が短いアジア圏(台湾、香港、シンガポール等)から始めるのが取り組みやすいです。送料も北米・欧州に比べて安く、トラブル時の対応もしやすい傾向があります。
まとめ
クリックポストは日本国内専用の配送サービスであり、海外発送には使えません。 海外へ発送するには、国際eパケットやEMSなど、国際対応した配送手段を選ぶ必要があります。
ただし、税関手続きや送料設定など、国内発送にはない準備が必要です。まずはShopifyの配送設定で海外を有効にし、注文が来たら対応できる体制を整えておく。海外からの問い合わせが増えてきたら、本格的に取り組む。このステップで始めるのが、小規模ショップにとって無理のない進め方です。
国内発送の業務効率化がまだ済んでいない場合は、そちらを先に整えることをお勧めします。ShopifyからクリックポストへのCSVエクスポートや追跡番号の反映を効率化するなら、瞬時に発送!for クリックポストを試してみてください。国内発送の時間を短縮できれば、海外発送の手続きに割く余裕も生まれます。