自社配送 vs 発送代行(3PL)比較|個人EC事業主はどちらを選ぶべき?

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自社配送 vs 発送代行(3PL)比較|個人EC事業主はどちらを選ぶべき?

自社配送 vs 発送代行(3PL)比較|個人EC事業主はどちらを選ぶべき?

注文が増えてくると、「そろそろ発送を外注した方がいいのだろうか」と考える瞬間がありませんか。

毎日の発送業務で自分自身がクリックポストを使い続けている立場として言えば、3PL(発送代行)は万能な解決策ではありません。件数が増えても自社発送を続けるメリットは確かにありますし、逆に自社発送にこだわりすぎると本業の時間が削られます。

この記事では、3PLの仕組みとメリット・デメリットを整理した上で、個人事業主がどのタイミングで検討すべきか、自社発送を続ける場合に何が強みになるかを解説します。


3PLの仕組み。商品を保管→3PL倉庫で保管・梱包→お客様へ発送。アウトソーシングの流れ
3PLの仕組み。商品を保管→3PL倉庫で保管・梱包→お客様へ発送。アウトソーシングの流れ

3PL(発送代行)とは何か

在庫の保管から発送までを外部に任せる仕組み

3PLは「Third Party Logistics」の略で、商品の保管・梱包・発送を外部の業者に委託するサービスです。マーチャントは商品を3PLの倉庫に預けておき、注文が入ると3PL側が梱包して発送します。

一般的な流れは以下のとおりです。

  1. 商品をまとめて3PLの倉庫に納品する
  2. 注文データがShopifyから3PLに自動または手動で連携される
  3. 3PLが商品をピッキング・梱包・発送する
  4. 追跡番号がShopifyに反映される

マーチャントは発送作業から手が離れるため、商品づくりやマーケティングに時間を使えるようになります。

3PLの料金構造

3PLの費用は、大きく分けて以下の項目で構成されています。

費用項目内容目安
保管料倉庫での在庫保管坪単位 or パレット単位
入庫料商品を倉庫に納品する際の検品・棚入れ1個あたり数十円〜
ピッキング・梱包料注文ごとの出荷作業1件あたり数百円〜
配送料実際の送料サイズ・重量による
システム利用料在庫管理・注文連携のシステム費用月額固定の場合が多い

1件あたりの発送コストは、自社発送よりも高くなるのが一般的です。自分でクリックポストを使えば送料185円+梱包資材の実費で済みますが、3PLでは上記の費用が加算されます。


3PLのメリット(発送時間ゼロ・スケールしやすい)とデメリット(コスト増・梱包品質の管理難)。件数別の目安付き
3PLのメリット(発送時間ゼロ・スケールしやすい)とデメリット(コスト増・梱包品質の管理難)。件数別の目安付き

3PLのメリットとデメリット

メリット

発送にかかる時間がゼロになる

最大のメリットは、発送作業から完全に解放されることです。梱包もラベル貼りも投函も不要になります。1日10件の発送に15分かかっているなら、年間で約90時間が空きます。

発送件数が増えてもスケールしやすい

自社発送だと、件数が増えるほど作業時間が比例して増えます。3PLなら、倉庫のキャパシティ内であれば件数が2倍になっても自分の作業は変わりません。

自宅に在庫を置かなくて済む

保管スペースの問題が解消されます。商品が増えてきて自宅の作業スペースが圧迫されている場合は、この点だけでも検討する価値があります。

デメリット

コストが上がる

保管料・ピッキング料・システム利用料が加算されるため、1件あたりの発送コストは確実に上がります。月間の発送件数が少ないうちは、コスト増の方が大きくなりがちです。

梱包の品質をコントロールしにくい

3PLの倉庫では、自分の商品だけを扱っているわけではありません。梱包の丁寧さ、緩衝材の入れ方、ラベルの貼り位置など、細部のこだわりを伝えきるのは難しいです。ハンドメイド商品のように梱包も体験の一部である場合、ここが最も気になるポイントです。

柔軟な対応がしにくくなる

「今日中に発送してほしい」「同梱でメッセージカードを入れてほしい」といった個別対応は、3PLでは追加費用がかかるか、対応自体が難しい場合があります。自社発送なら、こうしたリクエストにすぐ対応できます。


自社発送を続けるメリット

品質管理が自分の手元にある

梱包の仕上がりを毎回確認できます。商品が壊れやすいもの、見た目が大切なものの場合、梱包の品質は顧客満足度に直結します。

私が扱っているレジンキーキャップは、表面に傷がつきやすい商品です。緩衝材の巻き方ひとつで状態が変わるため、自分の目で確認してから封をしたいという気持ちがあります。これは3PLに委託すると難しくなる部分です。

コストを低く抑えられる

クリックポストであれば送料は全国一律185円です。梱包資材はまとめ買いで1件あたり数十円に抑えられます。3PLの各種手数料が加わらない分、1件あたりの発送コストは確実に低くなります。

項目自社発送(クリックポスト)3PL利用
送料185円配送サービスによる
梱包資材30〜50円3PL側の資材費
作業費自分の時間ピッキング・梱包料
保管料なし(自宅)月額発生
システム料なし月額発生の場合あり

月間の発送件数が少ないうちは、自社発送の方がトータルコストで有利です。

注文内容に柔軟に対応できる

お客様からの個別リクエストにすぐ対応できるのは、自社発送の強みです。メッセージカードの同梱、ギフト用の梱包、発送日の調整など、小回りの利く対応がリピーターの信頼につながります。


検討タイミングの目安

月間発送件数で考える

3PLの検討タイミングは、事業の状況によって異なりますが、ひとつの目安として月間の発送件数があります。

月間件数状況判断
〜30件1日1〜2件。自社発送で十分に回る3PLは不要
30〜100件1日3〜5件。発送に30分〜1時間。まだ回せるが負担を感じ始める発送フローの効率化を優先
100〜300件1日5〜15件。発送だけで1〜2時間。本業の時間が圧迫される3PLの情報収集を始めてもよい
300件超1日10件以上が常態化。1人では限界に近い3PLまたはスタッフ採用を本格検討

ただし、件数だけで判断するのは危険です。1件あたりの利益が薄い商品の場合、3PLの手数料を加えると赤字になることもあります。

件数より先に「発送フローの効率化」を試す

月間100件以下であれば、3PLを検討する前に発送フロー自体を見直す方が費用対効果は高いです。CSVエクスポートでまとめ申込を使い、追跡番号の反映を自動化するだけで、1日10件の発送が15分程度で終わります。

発送の手順をルーティン化し、スタッフに一部を任せることでも処理能力は上がります。スタッフやパートナーに発送を任せるための手順書の作り方で、手順書による引き継ぎの方法を紹介しています。

コスト構造を比較してから決める

3PLを検討する際は、現在の自社発送コストと3PLの見積もりを並べて比較してみてください。送料だけでなく、保管料・作業費・システム費を含めたトータルコストで判断することが大切です。配送料金の値上げに備える|コスト構造を見直すチェックポイントで、コストの棚卸し方法を解説しています。


ハンドメイドアーティストの価値。自社発送の強みは梱包品質の管理・柔軟な対応、丁寧な梱包=ブランド体験
ハンドメイドアーティストの価値。自社発送の強みは梱包品質の管理・柔軟な対応、丁寧な梱包=ブランド体験

ハンドメイド作家にとっての自社発送の価値

ハンドメイド商品を扱う場合、発送作業は単なる物流ではありません。商品を手に取り、検品し、丁寧に包んで送り出す。この工程自体がブランド体験の一部です。

お客様が荷物を開けたときに、「丁寧に梱包されている」と感じてもらえるかどうかは、リピート率に影響します。3PLに委託すると効率は上がりますが、この「手触り」は失われやすいです。

逆に言えば、発送の丁寧さが差別化になっている間は、自社発送を続ける方がビジネス上のメリットがあります。件数が増えて限界を感じたら、まずは梱包だけスタッフに任せて、検品は自分が行う形にすると品質を保ちやすいです。


自社配送と3PLの年間コスト比較シミュレーション

具体的な数字で比較してみましょう。月間50件・100件・300件の3パターンで、自社配送(クリックポスト)と3PLの年間コストを試算します。

項目自社配送(月50件)3PL(月50件)
送料185円 × 50 = 9,250円300〜500円 × 50 = 15,000〜25,000円
梱包資材40円 × 50 = 2,000円3PL側の資材費に含む
ピッキング・梱包料0円(自分の時間)200〜400円 × 50 = 10,000〜20,000円
保管料0円(自宅)5,000〜15,000円/月
システム利用料0円5,000〜10,000円/月
月額合計約11,250円約35,000〜70,000円
年額合計約135,000円約420,000〜840,000円

月50件の場合、年間で28万〜70万円の差が出ます。この差額が「自分の作業時間」の対価です。月50件の発送にかかる時間は、効率化されたフローで約2.5時間(月あたり)。時給に換算すると、自社配送を続ける方が圧倒的にコスト効率が高いことがわかります。

月300件になると自社発送に約15時間/月かかり、本業への影響が無視できなくなります。この水準になったら、3PLの見積もりを取って「時間を買う」判断が合理的です。


よくある疑問

Q. 3PLはどれくらいの費用がかかりますか?

業者やプランによって大きく異なります。小規模EC向けのサービスでは、月額基本料1万〜3万円+1件あたり300〜500円程度が一般的です。最低出荷件数の条件がある業者もあるため、まずは複数社に見積もりを依頼して比較するのが確実です。

Q. クリックポストで発送している商品を3PLに委託できますか?

3PLの業者がクリックポストに対応しているかどうかによります。3PLは独自の配送契約を持っていることが多く、クリックポストは個人アカウントでの利用を前提としたサービスのため、3PLでは別の配送手段になる可能性があります。その場合、送料が上がることも考慮してください。

Q. 一度3PLに移行したら、自社発送に戻せますか?

戻すこと自体は可能です。ただし、3PLの倉庫に預けている在庫の返送手続きや、自社での保管スペースの確保が必要になります。移行を試すなら、全商品ではなく一部の商品から始めると、リスクを抑えながら判断できます。


まとめ

3PLは発送業務から解放されるための有効な手段ですが、コストが上がること、梱包品質のコントロールが難しくなること、柔軟な対応がしにくくなることはトレードオフです。

月間100件を超えて本業の時間が明らかに圧迫されている場合は検討の余地がありますが、それ以下であれば発送フローの効率化やスタッフへの部分的な引き継ぎで対応できるケースが多いです。ハンドメイド商品のように、梱包の丁寧さが顧客体験の一部になっている場合は、自社発送を続けること自体が強みになります。

発送フローの効率化から始めたい方は、瞬時に発送!for クリックポストを試してみてください。CSVエクスポートから追跡番号の反映まで、毎日の発送作業をシンプルにできます。

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